秋も終わり、霜や息の白さに冬の訪れを感じるようになると、手紙などで目にするようになるのが「向寒の候」という言葉です。
「向寒の候」は季節によって変わる時候の挨拶の一つで、ビジネス文書にも使われる言葉です。
時候の挨拶は、意味や使われる時期などをしっかり押さえておくときちんとした手紙や挨拶文を書くときにとても役に立ちます。
冬の始まりから使える「向寒の候」、意味や読み方、具体的な例文をご紹介します。
「向寒の候」読み方・意味・由来
「向寒の候」は、『こうかんのこう』と読みます。”こうかん”、はあまり聞きなれない言葉ですが、「~の候」が漢語調の挨拶であることから「向寒」を単に音読みにすればいいので比較的わかりやすい言葉だといえますね。
「向寒」の意味は、字の通り『一番寒い時期に向かう』という意味で、日に日に寒くなってゆく季節の移り変わりを表す言葉です。
「向暑(こうしょ)」という言葉もある通り「~に向かう」という二字熟語が時候の挨拶になった言葉です。
「~の候」は{~季節の今日この頃}「~の時期になりましたが」といった意味の言葉です。
ですので「向寒の候」は「寒い季節に向かう時期になりましたが」といった感じの意味になりますね。
「向寒の候」使うのに適した時期は?
「向寒の候」は何日から何日まで!と使用期間がはっきり決まっているわけではありませんが、日に日に寒くなる頃に合わせ使うことばですから、11月中旬~12月上旬あたりまで使える言葉といえるでしょう。
冬の始まりである「立冬」が11月7日ごろですから、立冬を目安に使い始めるのが一般的です。
そして「向寒」の「寒」は二十四節気でいう「小寒(1月5日頃)」「大寒(1月20日頃)」を表しています。「小寒・大寒に向かう季節」ということですね。
しかし、小寒の前の「冬至(12月22日)」を過ぎると、もう冬真っ只中の雰囲気になってしまいますので、向寒の「本格的な寒に向かう」という感じを大切にすると11月7日~12月21日までを目安に使うのが一般的なようですね。
「向寒の候」を使った例文
手紙は基本的に、1,)頭語(拝啓、謹啓)から2.)時候の挨拶(向寒の候~)が入り、本文を経て3.)結びの言葉、そして最後に4.)結語(敬具・敬白・謹白)で終わります。
頭語が「拝啓」の時は、結語を「敬具」もしくは「敬白」にします。
さらに丁寧な言葉として「謹啓」を使うときは結語を「謹白」にします。
例文1 目上の方への手紙
例文2 ビジネス文書での使い方
結びの言葉は
- 今年もあとわずかとなりましたが社業かさらにご発展されますようお祈り申し上げます。
- 末筆ながら皆様の益々のご活躍をこころよりお祈り申し上げます。
などもあります。
例文3 親しい方への手紙
「向寒の候」がちょっと固く感じられる場合は「向寒の折り」や「向寒のみぎり」と書き換えることもできます。意味は同じです。
また、親しい方への手紙でしたら、さらに崩して
- 紅葉もすっかり終わり、もう冬ですね。お元気ですか。
- 日増しに寒さが感じられる季節になりました。いかがお過ごしでしょうか。
など、「向寒」を柔らかい表現で表すのもいいですね。
秋から冬にかけて日々寒さが増して夜長がますます深まる時期です。
遠くの友人や家族、久しくしている方にほっこりと温かい気持ちにななってもらえるように手紙を書くのもいいのではないでしょうか。
「向寒の候」のその他の例文や使い方などはこちらでもっと詳しく紹介されていますのでご参考にしてみてください↓
まとめ
寒くなっていく際の挨拶に使われる「向寒の候」。
相手を気遣ったあいさつはきっと喜んでいただけるはず、この記事が心を込めたお手紙の参考になれば幸いです!
それでは。