12月に入ると仕事や家庭など世の中が一年の締めくくりに入っていきます。
お世話になった方々にお歳暮を贈ることもあり、年末のご挨拶に手紙を送る機会も増えてきます。
そんなとき覚えておくと便利なのが「師走の候」という時節の挨拶。何かとあわただしい12月だからこそしっくりくる言葉です。
「師走の候」の読み方や意味、そして具体的にどのように手紙に使うのかの例文をご紹介します。
「師走の候」読み方と意味、由来
「師走の候」は「しわすのこう」と読みます。「師走」は二十四節気に基づいてつけられた12月の異名でもあります。
ですからそのまま12月という意味と、また1年の終わりの意味も含まれます。
「~の候」は「~の季節になりましたが」といった意味合いですので、合わせて「年の終わりの季節になりましたが」という意味になります。
12月を指す「師走」の由来はいくつかの説があります。
お坊さんが走る! という説
最もよく知られているのが字の通り、「師(僧)が走り回るほど忙しい時期」からつけられたという説です。
日本には年末になるとお寺のお坊さんに家に来てもらい、仏壇にお経をあげてもらうという風習がありました。
そのため年末になるとお坊さんは大忙しで走り回り、この様子からつけられたというわけです。
漢字も元々は「師走」ではなく「師馳す(しはす)」で、「師が東西を馳せる」から付けられたと言われています。
またそのほかにも
「年が果てるから」が変化して という説
一年が終わる月という意味での「年果つ(としかつ)」が、「としはつ」→「しはつ」と変化していき最終的に「しわす」になったという説。
一年の最後の締めくくりにいろんな事を「為し果てる」意味から「為果つ(しはつ)」→「しわす」になった説などもあります。
いずれにしても、忙しくも暮れに向かっていく年末の様子がうかがい知れる由来ですよね。
「師走の候」手紙に適した時期は?
「師走」ですからやはり12月に使うのに適しているといえます。
12月に届く手紙であればOKです!!
ただ、12月の下旬になると「歳末の候」や「歳晩の候」を用いる方が多くなってきます。
歳末セールの「歳末」ですね。
ですから「師走の候」は12月上旬から12月中旬までが最も丁度いい時期といえるでしょう。
同じ時期の時候の挨拶は、「忙月の候」「初雪の候」「霜寒の候」「寒冷の候」「初冬の候」「短日の候」などがあります。
どの言葉もそれぞれ違った意味がありますので、時期や天候を鑑みて師走の候とともに使い分けるといいかもしれませんね。
「師走の候」を使った例文
手紙は基本的に、頭語→時候の挨拶→本文→締めの挨拶→結語の順番で書いていきます。
時候の挨拶には季節に合わせた相手への言葉を添えて、また締めの挨拶には相手の体調を気遣う言葉を入れるのが一般的です。
例文1 お世話になった方などに。
拝啓 師走の候、皆さまにおかれましてはますますご清祥のこととお慶び申し上げます
~本文~
何かとご多忙な時期かと存じますが、皆さまにとって良い年末を迎えられますようお祈り申し上げます。 敬具
例文2 ビジネスでの年末の挨拶
謹啓 師走の候 貴社におきましては益々ご隆盛のこととお慶び申し上げます。
~本文~
来年も本年同様のご愛顧をよろしくお願い申し上げます。 謹白
*締めに相手への気遣いを加えると、一層心がこもります。
- 来年が皆様にとって輝かしい年となりますようお祈り申しあげます。
- 年末、ご多忙の折ではありますがご自愛専一にてお過ごしください。
例文3 親しい方への手紙
拝啓 師走の候、いよいよ年の瀬も押し迫ってまいりましたが皆さまいかがお過ごしでしょうか。
~本文~
年末、何かとあわただしい時期ではありますが、お体にお気をつけて、良い正月が迎えられますようお祈りいたします。 かしこ
まとめ
本当に忙しくなりはじめる少し前の12月初め頃〜中頃にぴったりの時候のあいさつ。
年の区切りの季節だからこそ、お世話になった方々にはきちんとしたご挨拶をしておきたいものですね。