新しい年を迎えた1月1日から使える時候の挨拶に「新春の候」があります。
「向寒の候」や「厳寒の候」など時候の挨拶は普段口にしないような難しい言葉が多い中、「新春」は、お正月をイメージさせる言葉で、意味も伝わりやすいように思います。
ここではそんな「新春の候」の意味や由来、そして挨拶文に使えるのはいつまでなのか!?
具体的な例文を添えてご紹介していきますね。
「新春の候」の意味や由来
新春の候はそのまま「しんしゅんのこう」と読みます。
「新春」は「新しい年」、「新しい春」を意味する言葉です。
「新春大売り出し」「新春かくし芸大会」「新春マラソン」などのお正月イベントや「新春明けましておめでとうございます」などのお祝いの言葉として日本人に馴染みの深い言葉でもあります。
ところで正月って「冬」じゃない?なんで「春」なの?と疑問に思いませんか?
お正月を「新春」と呼ぶのは季節を旧暦で表していた頃の名残なのです。
現在の新暦だと春は(二十四節気で見た場合)「立春(2月4日頃)」からですが、旧暦での春は1~3月になります。
旧暦での1月頭は、文字どおり新しい春を迎える時期であったわけです。
「候」は今その時期が来ている事を表す「~を迎えましたが」「~となりましたが」といった意味ですので、合わせて「新しい年の門出を迎えましたが」「素晴らしい新年となりましたが」といった意味になります。
なんとも晴れやかな新年のお祝いムードにふさわしい言葉ですね。
「新春の候」使うのにふさわしい時期
「新春」という時期自体は1月いっぱいが相当するのですが、お正月のイメージが強いのでやはりお正月の時期に使用するのが最もふさわしい言葉です。
具体的には1月1日から長くても1月15日くらいまで。
タイムリーなのは1月7日の「松の内」までと言えるでしょう。
同じような言葉で「初春の候」というものもありますが、こちらも1月15日くらいまでがタイムリーな時候の挨拶です。
「新春の候」手紙に使うときの例文
手紙の基本的な構成は簡単に言うと、
- 頭語(拝啓・謹啓など)→
- 時候の挨拶(~の候など)→
- 相手の安否を尋ねる言葉→
- 本文→
- 結びの言葉→
- 結語(敬具・謹白など)
このようになります。
次項ではこのセオリーに乗っ取った例文を、使うシーンごとに紹介します!
ビジネス文章での例文
ビジネスで使う際
拝啓 新春の候 貴社益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
~本文~
本年も変わらぬお付き合いのほどをよろしくお願い申し上げます
敬具
や
謹啓 新春の候 貴社益々ご発展のこととお慶び申し上げます。
~本文~
皆様にとって輝かしい年になりますようお祈り申し上げます
謹白
「拝啓」で始まった場合は「敬具」で終わり、「謹啓」なら「謹白」で終わります。
拝啓より謹白のほうがより丁寧な言葉になります。
結びには新年や寒い季節への気遣いを絡めた言葉を使うといいでしょう。ビジネス文章という事で取引先などに送る際など使えます。
親しい方への手紙の例文
親しい方には少し砕けた表現すると”近い”感じがして良いです。
拝啓 新春の候 皆様におかれましては穏やかな正月を迎えられたことと存じます。
~本文~
皆様にとって今年も幸多い年になりますようお祈り申し上げます。
敬具
や
拝啓 新春のみぎり 喜びに満ちた新年を過ごされていることと存じます。
~本文~
寒さ厳しい折、お風邪など召しませんようご自愛専一にてお過ごしください。
敬具
堅苦しく感じた場合は
・より親しい相手への手紙で、「~の候」が少し硬く感じられるときは「~のみぎり」「~の折」と言い換えることもできます。
拝啓 新春の折 例年になく温かい正月となりましたが皆様いかがお過ごしでしょうか。
~本文~
本年も皆様にとって素敵な年になりますようお祈りいたします。
敬具
であったり
拝啓 新春のみぎり 皆様、楽しいお正月を過ごされていることと存じます。
~本文~
ますます冷え込みが厳しく感じられる季節です。お体に気を付けてお過ごしください。
敬具
という感じにすることで、より柔らかい表現になるかと思います。
まとめ
「新春の候」はお正月限定の時候の挨拶と言えるでしょう。
大切な方へお年賀の葉書だけでなく手紙に新年の挨拶をしたためるのも良いかもしれませんね。
一年のはじめにお手紙いかがでしょうか。