「錦秋の候」はどんな時にどのように使ったらいいのでしょうか?
「錦秋の候」と聞くと(字を見ると)何やら格式高い時候の挨拶で、今までも、これからも自分の人生の中で出番は無いだろう・・・と思っていませんか?
いやいや、これが意外と使う時がやってくるかもしれませんよ!!ビジネスシーンにおいても、お世話になった目上の方々とのお付き合いの中で、メールであれ、お手紙であれ、文章(お礼状)を書くシーンは多々やってくるはずです。
季節によって冒頭の挨拶を使い分けることができるのは日本語だけかもしれません。
そして、その日本語はとても美しく、知っていると「おぬし・・なかなかの者じゃのぉ!」と一目置かれること間違いなし。
そこで、「錦秋の候」の意味と由来と使い方・例文をご紹介したいと思います。
錦秋の候、その意味は?
「きんしゅうのこう」と読みます。
「候」は天気や気候を意味しますが、時候の挨拶の場合は、季節の移り変わりを表している言葉です。
そして「錦秋」とは、まさに字の如く、紅葉がまるで錦(にしき)の織物のように美しい様を表す秋の季語になっています。
日に日に秋が深まりイチョウの葉が黄金色に染まっていく様子を思い浮かべることができる美しい言葉ですね。
ですので「錦秋の候」を、柔らかく言い換えると「すっかり秋も深まり、山の木々の紅葉が錦のように美しい季節を迎えましたが・・・」といった感じになります。
「錦秋の候」の由来
時候の挨拶は「二十四節気」(一年を二十四の季節に分けた表現)を使う事が多く、秋分・立冬・立春などがありますが、これらは次の節気が訪れる前日までと、使える時期が決まっていますが、錦秋の候の場合は季節の情景などを表している言葉なので、使う時期は明確には決まっていません。
ですが・・・
「錦秋の候」を使うのに適した時期は?
さきほど錦秋とは「木々の葉が錦のように色鮮やかな秋」といいました。
紅葉が始まるのが大体10月頃、
そしてあくまで”秋”という言葉が入っているので立冬(冬のはじまり)となる11月8日以降は冬の時候の挨拶を使った方がいい時期になります。
ですので「錦秋の候」の使用するのにちょうど良い時期は
10月に入った辺りから11月頭までと考えてよろしいかと思います。
錦秋の候の使い方、例文
使うにあたって選ばれるシーンはビジネス文書やメール、目上の方やお世話になった方などに送る、かしこまった手紙を書く際などになります。
時候の挨拶の後は、相手の安否と挨拶、用件と続き、最後に結びの挨拶で締めくくります。
ビジネス文書の例文は
- 拝啓 錦秋の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
(拝啓から始まった場合、結語は「敬具」となります。) - 謹啓 錦秋の候、ますますご健勝のほどお喜び申し上げます。
(謹啓から始まった場合、結語は「謹言」となります。)
個人宛の場合の例文は
- 拝啓 錦秋の候、○○様には益々のご活躍のことと拝察いたしております。
- 拝啓 錦秋の候、めっきりと秋色が濃くなってまいりました。
といった感じで使うと秋らしさを相手に失礼のないように伝えられます。
その際、
- 文中には、何かを頂いた場合や、ご尽力頂いた事に対するお礼の文章をいれます。
- そして最後には「日増しに寒さが厳しくなってきますので、どうぞお身体、ご自愛くださいませ。」
のように締めくくるのがベストかと思います。
まとめ
自分では書く機会がなくとも、逆に頂くことがあるかもしれません。礼儀正しい文書を頂いて悪い気分になることは決してないはずです。またこのような事を知ることで、会話のできる人の幅が、とても広がると思います。
イマドキな言葉も悪くもないかもしれませんが、昔から伝えられ続けている手紙の挨拶の言葉を覚えて、ちょっと賢くなった自分と出会うのも、たまにはいいかもしれませんよ!!