手術の際に身体の中に置き忘れたガーゼでおこる『ガーゼオーマ』。
この置き忘れたガーゼによって引き起こされる『ガーゼオーマ』についてとその危険性についてここでは実際起こったケースとともに見ていきたいと思います。
ガーゼオーマとは?
ガーゼオーマ、granuloma(異物肉芽腫)は、外科手術などを行った際に体内に置き忘れたガーゼが炎症細胞や繊維芽細胞、血液などの体内の液体を吸収し肉芽腫になったものをいいます。
基本的にガーゼオーマ自体は癌化しない良性腫瘤です。
肉芽腫とは?
いわゆる”おでき”で、炎症によって起こる腫瘤状病変といわれるものです。
よく見られるものですとピアスを開けた際、身体がそれを異物と判断しそこに炎症細胞や繊維芽細胞が集まってきて穴の部分にできる肉の芽が肉芽腫です。
原因は?
その原因は
手術を担当する外科医やガーゼをカウントする医療従事者のミスが原因となる。
ただし最低限の注意で防げる初歩的なミスというわけでもない。ガーゼは数十枚単位で大量に使用されるものである上、血液を吸収したガーゼは臓器と色が似て思いのほか見づらく、数えづらくなること、止血のためにガーゼは小さく丸められて臓器と臓器の隙間に詰め込まれたりすることがあり、細心の注意を払っていても、ガーゼはしばしば見逃されることがある。
しばしば見逃される・・・
とありますが最近では
現在ではX線写真に映るタイプのガーゼが日常的に使用されるようになっており、ガーゼオーマの発生防止に役立っている。
癌化しない良性腫瘤、場所によっては便によって自然排出されるケースもある、ということで実際には長期間、ひいては一生気づかないこともある『ガーゼオーマ』ですが実は危険なケースも存在します。
ガーゼオーマによっておこる危険性
実際起こったケースをみていきましょう。
ケース1
以前虫垂切除術,胆嚢摘出術を行った患者がCT検査をした際、腹腔内(簡単にいうとおなか)に4センチほどの腫瘤が発見され改めて摘出手術が行われました。
摘出された腫瘤の中はガーゼの塊。
腹腔内異物は2次感染を合併すると致命率も高いとの報告もあるのでやはりそのままにしておくべきではありませんので摘出したという訳なのです。
何より異物ですから気持ちのいいものではありません。
ケース2
以前に蛋白尿,尿潜血にて開腹腎生検をした患者がCT検査をした際、後腹膜腔に腫瘍が発見され、摘出手術が行われました。
この時腹横筋(わきばら)に腫瘍が癒着していてその腫瘍内にはコットンファイバーらしき線維性の異物が見られました。
ケース3
以前に帝王切開で出産を行った患者が腹部CT検査をした際腹部正中(お腹のまんなか)に腫瘍が発見されました。
翌月腹痛が強くなったため手術が行われました。
この時、小腸内に腫瘍が癒着を起こし、一部壊死および穿通(せんつう…簡単にいうと穴が出来た状態)が見られました。
腸内には30x40cmの布製異物が見られガーゼオーマから起こった炎症からきたものと認められたのです。
まとめ
これから先の手術においてはX線写真に映るタイプのガーゼが日常的に使われるなど大丈夫かと思われますが、以前の手術の置き忘れがあったとしたら本当に怖いですよね。
とにもかくにも異変を感じたら我慢するのではなく病院で観てもらうことです。