日本では、三大祭りや、日本三景のように日本を代表する物を表す場合、上位(もしくは下位)3つを取り上げることが多く見られます。
これは、「石の上にも三年」や「早起きは三文の得」ということわざにも表れているように日本人が「3」が好きとも言えますし、「3つ」は多すぎず少なすぎず調度良い説得力が増す数とも言えます。とにかくそういった理由で、日本人は、2つある全国的に有名な物を追いかける形で、自分たちの地域にある物を「三大○○」の1つとして、しばしば世間にアピールします。
今回テーマとして取り上げる「三大うどん」も例外ではありません。
三大うどんとは
香川県の「讃岐うどん」と秋田県の「稲庭うどん」は全国的にも有名で、スーパーなどでも手軽に購入することが出来ます。残り1つは、長崎県の「五島うどん」、群馬県渋川市の「水沢うどん」のほか、名古屋市の「きしめん」も挙がることがあります。
讃岐、稲庭うどんの歴史や特徴
みなさんご存知「讃岐うどん」は、18世紀初頭にはあったと思われ、江戸時代後期には金毘羅参りをした参拝者を対象としてうどん屋が増えました。当時は、漬け汁に薬味を入れて食べるスタイルで、現在のようなだしをぶっかける形になったのは明治時代と見られています。
讃岐うどんは、麺のコシの強さが特徴ですが、このコシを出す方法として面白いのは、「足踏み」の方法です。金毘羅などを観光した際、いくつかの店舗でうどん打ち体験をさせてもらえますが、「足踏み」の体験はとても素敵な思い出となるはずです。
また、味付けにも特徴があり、さっと茹で上げ水でしめたうどんに、イリコ入り出汁と醤油をかけた後、ショウガやネギの薬味を加えます。
香川では、製麺所がうどん屋を営んでいることがあり、客が自ら薬味を入れたり天ぷらなどを乗せて食べたりするスタイルが多く見られます。
「稲庭うどん」の歴史はさらに古く、1600年代には将軍家や大名などに届けられる高級品でした。明治以降、宮内省への献上品としてもてはやされ、一般庶民が食べるのは難しかったようです。
稲庭うどんは、素麺のような形状の乾麺で、コシがありつるつるとした食感が特徴です。また、稲庭うどんは、包丁を使わず手で引き延ばす方法で作られるので、出来上がるまでに3~4日かかります。
こういった手間暇が現在も続く高級品のイメージを守っているのかもしれません。
秋田のうどんつゆでは、鰹だしをきかせたもの以外に比内地鶏で出汁をとっているものもあり、上品でまろやかなおつゆが、うどんに良く合います。
せめぎ合う残り1枠
長崎県の「五島うどん」(ごしまうどん)は、食用の椿油を塗りながら、棒状の生地を2本の橋にかけて引き延ばしては束ねるという工程を繰り返して細い麺にしていきます。コシが強く、プルンとした食感が特徴で、シンプルで飽きのこないうどんです。
群馬県の「水沢うどん」は、讃岐うどん同様、参拝客向けに作られました。細目のうどんですが、コシと弾力があり、冷たいざるうどんで食べるのが一般的です。
名古屋の「きしめん」はうどんなのか、という疑問は残りますが、「平打ちうどん」と呼ばれることもあり、3大うどんにノミネートしています。普通のうどんよりも平たいのが特徴で、コシは弱めですが、つるつると滑らかな食感です。油揚げや鶏肉などの具やネギ、鰹節を乗せ、熱いつゆをかけて食べます。
三大うどんに定説はなく、人によって地域によって意見はさまざまです。
讃岐うどんと稲庭うどんは入っていることがほとんどですが、残り1枠は、九州なら五島うどん、関東なら水沢うどんというように地元に近く愛着のあるものを挙げる人が多いように思います。自分で食べてみて、好みによって三大うどんを決めてみるのも面白いかもしれませんね。
ちなみに日本うどん学会” の会長へのインタビュー!はこちら
そもそも誰が言い出したの?っていうお話なんですよね(笑)