じめん(地)の、みぞ(溝)の、あぶら(油)と書いて「地溝油(ちこうゆ)」と言います。
字のイメージからしても、決して良い感じはしませんよね。はい、良くないものです。
2010年に中国の全国紙で報じられたことにより、中国全土はもとより全世界に知れ渡り、中国で大きな社会問題になっている再生食用油のことです。
地溝油っていったい何?どんなもの?何がよくないの?日本では大丈夫?そんなギモンを様々な角度から紹介します。
こうして製造される地溝油
- 下水道の中の赤黒く濁ったクリーム状の物体を掻き出す。→原料
- それを一昼夜かけてろ過
- 加熱→沈殿→分離といった工程で精製
- 悪臭を取り除き再生食用油に仕上げる
1.の原料が動画のように 腐敗してしまった動物の死体から作るケースも最近では多く発覚しています。
そして販売されます。
色は黒っぽく、一目で地溝油と判別できます。通常のサラダ油の半額という安価な値段の為、需要が多く、どんなに規制をしても製造はあとをたちません。
台湾でも摘発された地溝油製造メーカー
2014年、台湾では飲食店などから回収した食用油の廃油や病死及び変死(腐敗)した家畜の内臓や皮革から生成した油にラードを混ぜて作った食用油を販売していた会社「強冠」が摘発されました。
こちらから購入した油が台湾の「モスバーガー」などで使われていた事もあって話題になりました。
鉱物製油を使用していないので成分検査をしても地溝油と判別されないところがさらに恐ろしいです。
一聴すると問題なさそうな気もしますが、もともと口に入れるべきではない物から作ったものはやはり・・・ですね。
地溝油が作られるようになった歴史と背景
2005年頃からちらほらと噂があったようですが正式報道は2010年、いつ頃から製造されていたのかは定かではありませんが、2005年より遡ること数十年前から製造されていたのではないかと言われています。
この地溝油に携わる人々の月収は中国のエリートサラリーマン並みの1万元(2016年現在の日本円に換算すると約15万3千円)と高額となるため、これにより生計を立てている人たちが数多くるという現状です。
貧困から抜け出すためには手段を問わないという考えから始まったことかもしれませんね。
購入するのは主に料理店の経営者たち。調理して出してお客さんからお金を貰い利益を出します。
決して自分の口には入れません。
勿論禁止されていることですし取り締まりもしていますし、捕まれば製造者も購入者も罰せられます。
(極めて重罪で最高刑は死刑です)
しかし監督省庁がいくつにも分散している為に責任の所在が曖昧なことで、政府の管理体制がおろそかだと熟知している製造者も購入者も法の目をくぐり抜ける術を学んでしまっているわけです。
地溝油の危険性
地溝油に含まれる物質の中で最も危険なものは「アフラトキシン」という発がん性物質です。
アフラトキシンの毒性はヒ素の100倍にも及びます。また神経毒の「666」、発がん性がある「DDT」といった劇毒の農薬成分も基準値以上が検出されているとのことです。
アフラトキシンを摂取し続けていると肝障害になるリスクがあります。
日本では台湾でも使われる別名「下水油(げすいあぶら)」や「どぶ油」とも呼ばれています。このことからだけでも、どれだけ体に悪いものかという事が伺えますよね。
中国や台湾では地溝油が・・・
そんな地溝油は中国の飲食店の一割近くの店で使用されている、とまで言われる事もあります。
高級ホテル内のレストランなどは安心かもしれませんが、それでも中には、食用油を持参して、これで調理をしてほしいと依頼するお客さんもいるそうです。
小さな飲食店や屋台などでは使われている可能性が高いので、旅行に行った際、地元の食文化に触れたい気持ちは誰しもありますが、あきらかに危険信号が出ている場合、海外旅行者が全くいないお店などでの飲食は自分の身を守るためにも避けた方が安全かもしれません。
日本では使われていないの?
中国製や台湾製の食用油は日本にはほぼ輸入されていないので安心!!
と思うかもしれませんが
ある中国人調理師によると
「トウバンジャンやラー油など、大陸から輸入される、油ベースの香辛料も実は多いんです。そこに下水油が含まれている可能性はゼロではない。
日本メーカーの製品や国内に販売代理店のあるメーカーのものは安心ですが、中華系食材店で売っている直輸入の香辛料は玉石混交。
私も一度、直輸入されたザーサイのラー油漬けを買ったところ、開封するとものすごい悪臭で、ヤバいと感じてそのまま捨てたことがあります。
本場の香辛料を使うとやはり味が違うので、直輸入された香辛料を使う中華料理店もあるでしょう。だから日本国内のレストランであっても、油断できないのが現状です。
もちろん、中華料理をメニューで出す日本の飲食店の人たちも、徹底して日本のメーカーのものを使ってほしいですね」
というように向こうのメーカーの輸入食材、加工食品に使われている可能性も否定できないのです。
注意をしようにもどうしようもできないところがもどかしいですが、”あちら”の素材などにこだわった”格安の”中華料理店(実際そのようなお店はあるのでしょうか!?)は上記レストランにあてはまるかもという感じでしょうか。
まとめ
13億7千万人以上の人が暮らす中国。似ても似つかぬパクリのキャラクターや、上手に字をもじった、日本メーカーのバッタ品などなど、お粗末なものの数々。
また、段ボール肉まんや、腐敗した肉を平気で使用したり、タイヤを小さく丸くして“タピオカ”として販売するなど、ありえない、日本では考えられないような事が中国では起こっています。
しかしながら、スポーツであれ、料理であれ、建築であれ、優れた技術、真面目な方たちの方が圧倒的に多いはずです。
世界はひとつ、モラルの向上に我々もふくめて取り組んでいきたいものですね。