立春を過ぎたころに使う時候の挨拶として「余寒の候」があります。
時候の挨拶は、ビジネスでのプライベートでもお知らせや手紙を書くときに使う冒頭の挨拶文のこと。覚えておくと何かと便利です。
時候の挨拶は使用する時期が決まっているので、その意味や使いかたと合わせて押さえておきましょう。
「余寒の候」の意味や適切な使用時期、具体的な例文をまとめてご紹介します。
「余寒の候」読みや意味は?
「余寒の候」は「よかんのこう」と読みます。
「余寒」は「立春を過ぎてもなお残る寒さ」のことを指します。
暦の上で、春は立春(2月4日頃)から始まります。けれど、2月頭ってまだ結構寒いですよね。
この時期は、「寒の戻り」といって、一度やわらいだ寒さが再びぶり返してくる時期でもあるのです。
ちなみに「寒」は「小寒(1月5日頃~1月20日頃)」そして「大寒(1月20日)」を指します。
小寒・大寒を見舞う書状「寒中見舞い」は、立春を過ぎると「余寒見舞い」に変わります。こちらも一緒に覚えておくといいですね♪
「~の候」は「~の季節になりましたが」「~の今日この頃」といった、今を表す言葉ですので、合わせて
「立春を迎えてもまだまだ寒さが残る今日この頃」「未だ残る冬の寒さが身に染みる季節ですが」といった意味になります。
積もった雪がいまだ溶けずに残っている所も多いこの時期。ひな祭りや卒業式などの春を思わせるイベントはあるけれど、春を肌で実感するのはもう少し先といった感じですね。
「余寒の候」使うのに適した時期は?
「余寒の候」は、春が始まる「立春」である2月4日頃から、およそ2月の末までが使用時期になります。
けれども九州南部などでは3月はもうぽかぽか暖かい陽気になりますので、そういう方への手紙には使用しないほうがいいでしょう。
同じ時期に使う時候の挨拶には、「残寒の候」「春寒の候」「向春の候」「晩冬の候」「寒明けの候」などがあります。
こちらもそれぞれ意味が少しずつ異なりますので、調べて使い分けるのもいいですね。
「余寒の候」を使った例文
「余寒の候」を使った具体的な例文をお相手別にご紹介します!
きちんとした手紙の構成は簡単に言うと
- 頭語(拝啓・謹啓など)
- 時候の挨拶(余寒の候など)
- 相手の安否を尋ねる言葉
- 本文
- 結びの言葉
- 結語(敬具・謹白など)
の順番となります。
「余寒の候」をこの流れに沿った例文でご紹介します。
ビジネス文章での例文
例その1
拝啓 余寒の候 貴社益々ご発展のこととお慶び申し上げます。
~本文~
年度末に向けて何かと忙しい時期かと存じますが、ご自愛専一にてお過ごしください
敬具
例その2
謹啓 余寒の候 平素は格別のご高配を賜り誠にありがとうございます。
~本文~
貴社のいっそうのご発展とご活躍をお祈り申し上げます。
謹白
*「拝啓」で始まった場合は「敬具」「敬白」で終わり、「謹啓」なら「謹白」「謹言」で終わります。拝啓より謹白のほうがより丁寧な言葉になります。
*結びの言葉にはその時期ならではの言葉で、相手を気遣う文章を入れます。
親しい方への手紙の例文
例その1
拝啓 余寒の候 皆様いかがお過ごしでしょうか。
~本文~
寒の戻りが厳しいこの頃です。お体にお気をつけてお過ごしください。
敬具
例その2 「敬具」を「かしこ」にした例
拝啓 余寒の折 皆様お変わりなくお過ごしのことと存じます。
~本文~
皆様によき春が訪れますよう心よりお祈り申し上げます。
かしこ
例その3 「余寒のみぎり」を使った例。
拝啓 余寒のみぎり ○○様にはますますお元気でお過ごしのことと思います。
~本文~
今年度も○○様のご活躍を楽しみにしております。寒さに負けずお互い頑張りましょう!
敬具
*より親しい相手への手紙で、「~の候」が少し硬く感じられるときは「~の折」「~のみぎり」と言い換えることもできます。また、女性であれば「敬具」も「かしこ」と言い換えることができます。
まだまだ寒さが残る季節だからこそ、気遣いのある手紙はほっこりあたたかな気持ちになるものです。しばらくご無沙汰している方がいれば、「余寒の候」を使ってぜひお手紙を書いてみてくださいね♪