今年も寒さが身に染みる季節になってきましたね。
本格的な冬が訪れると見かけるようになる時候の挨拶に「寒冷の候」があります。
時候の挨拶はビジネス文書や手紙の書き出しに使われる季節のあいさつです。
適した時期などの要点を抑えておくと、きちんとした文章を書くときなどに使えて便利です。
「寒冷の候」の読み方やその意味、使うのに適した時期、具体的な例文をご紹介します。
「寒冷の候」その意味は?
「寒冷の候」は「かんれいのこう」と読みます。
「~の候」というのは漢語調の挨拶ですので音読みで読むのが一般的です。
「寒冷」の意味は国語辞典には「冷え冷えとして寒いこと」と書かれています。
「寒冷じんましん」「寒冷紗」「寒冷前線」「寒冷低気圧」などの使い方があり、どれも凍えそうな言葉ですね。
ちなみに「寒冷」の反対語は「温暖」です。こちらもついでに覚えておくのもいいかもしれません。
「~の候」は「~の季節になりましたが」・「~の時期が来ましたが」といった今の季節を表す言葉です。
ですから意味は「本格的な冷え込みを感じる季節になりましたが」や「冬の寒さが身に染みる今日この頃」といった意味になります。
吐く息が白くなり寒気で耳が赤くなると「ああ、冬が来たなぁ」と感じますが、丁度そんな寒さの深まりを感じさせる言葉ですね。
「寒冷の候」使う時期は?
時候の挨拶には、「春分の候」や「立冬の候」など季節を二十四に分けた「二十四節気」の言葉が使われることが多いのですが「寒冷の候」はそうではありませんので厳格に「いつからいつまで」と決まっているわけではありません。
しかし言葉の意味から「冬の寒さを本格的に感じる季節」ということで12月に入ってからが適した季節とされています。
11月の終わりまでは「晩秋の候」や「向寒の候」など秋の深まりを表す言葉を使います。
1月に入ると時期的には「寒冷の候」でもいいのですが、初旬は「新春の候」などが多く、正月を過ぎたら「厳寒の候」「厳冬の候」などさらに寒さが厳しくなった意味の挨拶へと変わっていきます。
以上から「12月いっぱい」が最も適しているといえるようです。
「寒冷の候」を使った例文
さてさて「寒冷の候」を使う手紙や文書はそれなりにきちんとしたものですよね。
手紙の基本的な構成は簡単に言うと
- 頭語(拝啓・謹啓など)
- 時候の挨拶(寒冷の候など)
- 相手の安否を尋ねる言葉
- 本文
- 結びの言葉
- 結語(敬具・謹白など)
の順番となります。
このセオリーに乗っ取って、「寒冷の候」を使った例文をご紹介します。
ビジネス文章での例文
拝啓 寒冷の候 貴社益々ご繁栄のこととお慶び申し上げます。
~本文~
年末はなにかとご多忙の折ではございますが、お体にお気をつけて良き年をお迎えください
敬具
や
謹啓 寒冷の候 皆様におかれましてはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
~本文~
来年もご指導・ご鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます
謹白
本文のみご自分のお言葉で書かれるとよいかと思います。
*「拝啓」で始まった場合は「敬具」で終わり、「謹啓」なら「謹白」で終わります。拝啓より謹白のほうがより丁寧な言葉になります。
*12月の挨拶はそのまま年末のご挨拶になることがほとんどです。
結びには寒い季節への気遣いのほかに、今年一年の感謝や来年へのご挨拶も絡めた言葉を使うといいですね。
親しい方への手紙の例文
拝啓 寒冷の候 なにかとあわただしい季節ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
~本文~
来年も皆様にとって素晴らしい年でありますようお祈り申し上げます。
敬具
といったものや
拝啓 寒冷の候 年内余白なく皆様ご多忙な日々をお過ごしかと存じます。
~本文~
寒さの厳しい季節です。ご自愛専一にてお過ごしください。
敬具
このように使えます。
*より親しい相手への手紙で、「~の候」が少し硬く感じられるときは「~のみぎり」「~の折」と言い換えることもできます。
拝啓 寒冷のみぎり 今年もあと一か月を切りましたが皆様ますますお元気のことと存じます。
~本文~
素敵な年末をお過ごしになられますよう心よりお祈り申しあげます
敬具
や
拝啓 寒冷の折 心せわしい年の暮れ、皆さまお変わりございませんか。
~本文~
来年も輝かしい年になりますようお祈り申しあげます。
敬具
のようにするとより柔らかいニュアンスになります。
年内最後の挨拶ですので、いつもより丁寧に言葉をつづると寒々しい季節に温かい手紙が書けそうですね♪
お世話になった方や親しい方へ、時候の挨拶を使って心のこもった手紙を書いてみてください。