日本では北風が吹き、冬の足音が聞こえ始めてくる11月頃(各地の気温差により若干
違いがあります)から、あちこちの軒先で「干し柿」を見かけたものでした。
今の時代の子供たちや若い世代から見ると、それはまるで、日本昔話のような光景に映る
かもしれませんね。
この先人たちの知恵がたくさん詰まった完全無添加の干し柿は栄養価も高く、これからも
後世に引き継ぐべき日本自慢の食べ物の一つではないでしょうか。
もともと柿にはビタミンCが多く含まれ大きめのものですと1個で一日に必要なビタミ
ンCを補給できます。
しかしこれは生の柿の場合で、干し柿にすると、ビタミンCは無く
なりますが、その代わりにβカロチンが増えます。また食物繊維・ミネラルも豊富に含ま
れています。
とても体にいい干し柿ですが食べすぎるとタンニンの作用により鉄分の吸収が妨げられ
てしまいますので、一日に食べる量は1個~2個にしておきましょう。
スーパーやデパートで見かける、ちょっとお高めの「あんぽ柿」こちらは完全に乾燥さ
せず水分を残し果肉が柔らかい状態の柿を硫黄で燻蒸して、ある程度保存がきくようにし
たものを指すそうです。
そんな「干し柿」、オレンジ色や白っぽいもの、黒っぽいものなど”これだいじょうぶかな?”なんて事があったりしませんか。
おいしく頂くためのその見分け方を紹介します。
これってカビ?
干し柿についた白い・・・
ここで間違えそうになるのが白いカビと白い粉です。
↑の写真の白い粉はカビではなく、柿の持つブドウ糖や果糖の糖分が結晶化した「柿霜」と呼ばれる
もので、旨味成分です。
柿の糖分が結晶化して表面に出てきたものなので払い落さずにその甘さを堪能してください。
そして
出典:http://blog.goo.ne.jp/tako-si/e/05a7a261ed8f4410b6cd52ac726208bd
白いカビはフワッとしていますので見分けがつくかと思います。こちらの画像の白い部分はカビです。
このカビは風味を損ねてしまいますので、残念ながら少しでも付着してしまった場合は食べても美味しくないですから思い切って処分してしまいましょう!
干し柿が黒っぽく・・・
これは渋み成分であるタンニンが外に出て甘くなったよ!という柿からのサインなのです。
黒い点々はどことなく見栄えも悪いし心配になりますが、渋みがなくなって甘くなった知らせ
とは意外な気がしますよね。
干し柿についた青・緑の・・・
これは間違いなくカビです。少量であれば、その部分を取り除いて食べることもできますが
全体に広がっているときは見えない中の部分にもカビが浸透している場合もありますので、
食べない方が無難かと思います。
全般的に言えること
少量のカビであれば、焼酎をつけた歯ブラシでこそげ落としたり、まるごと焼酎に付け込ん
で食べれば大丈夫という説もあります。
いずれにせよ、口の中から体に入るものですから、やはり迂闊に素人判断はしないことです。
近所の物知りお婆ちゃんに聞くのが一番良いのですが、なかなかそうはいきません。
少しでも不安な時は食べるのを止めるに越したことはありませんね。
少しでも長くおいしく味わうために!
食べごろの干し柿をたくさん作ったり頂いたり買ったりした場合、冷凍保存しましょう。
キッチンペーパーを4分の1の大きさに切り、一個ずつ包み、更にラップで包みます。そして
更にジップロック等の保存袋に入れて冷凍します。
また、この作業の際、雑菌の侵入を少しでも防ぐため、素手ではなくて使い捨ての手袋をして
作業した方がより安心です。食べたいときに食べる分を自然解凍して、風味そのまま、美味し
く食べることができます。
しかし冷凍庫は万能庫ではありませんので、少なくとも3か月以内には食べきって、また翌年の楽しみを待ちましょう。
いつもの干し柿に飽きたら、トースターで軽く焼いてバターをつけたり、スライスして、チーズをのせて焼いて食べるのも、なかなかオツな味ですので試してみてください!
干し柿、寄り道情報
出典:自然派PhotoGallarey
2011年、東日本大震災により甚大な被害を被った「岩手県大船渡市 三陸駅」。
この駅では、かなり以前から12月になるとホームに、食べごろになってきた干し柿が吊るさ
れ「干し柿カーテン」の風景が見られます。地元のおばちゃん、おばあちゃんたちが丹精込め
て作ったものです。
そして、この干し柿は自由に取って食べていいんです!決して「柿どろぼう!」と言われる
事はありませんので安心してください。
震災後もその風景は変わらず、電車を待つ人々、三陸駅を訪れる人々の癒しになっています。
機会がありましたら、是非一度、足を運んでみてはいかがでしょうか。