風邪や体調が悪いとき、脇の下のリンパが腫れて痛む経験は誰にでもあるのではないでしょうか。「リンパが腫れているね~」なんて、お医者さんからもよく聞くセリフです。
しかしリンパ節の腫れや痛みがあまりに長引くと、重大な病気が隠れているのでは?と不安になってしまいますよね。特に脇の下のリンパ節の痛みは、女性特有の疾患が隠れていることがあり、注意が必要です。
リンパ節が腫れる原因と、考えられる病気についてお話ししていきます。
そもそもリンパって何?リンパ節が痛む原因
そもそもリンパって何でしょう?
必要に応じて毛細血管から染み出た液体のことをリンパ液といいます。リンパ液は免疫作用があり、血管近くのリンパ管を通って全身を巡っています。
リンパ液の役割は、老廃物や体に不要なウイルス、タンパク質などを排出することです。
リンパ節はリンパ管の中継地点で、老廃物やウイルスなどをろ過して白血球の免疫作用で退治します。
そしてきれいになったリンパ液は、血管に戻り心臓を通って再び全身を巡ります。
リンパ節は身体の自浄作用のためにとても大切な働きをしているんですね!
リンパ節が腫れて痛むとき、このろ過された老廃物やウイルスの処理がたまっていることを意味します。
リンパ節は体調不良やストレスが溜まっているとき、また身体が冷えている、肩こりがひどい、女性は生理前などにリンパの流れが悪くなると腫れて痛むことがあります。
その他、猫に引っかかれた、不潔なところでのケガなど体にバイ菌が入ってもそれを排除しようとして腫れることがあります。
そういう時は原因が解決されれば自然と腫れや痛みも治まっていきます。
脇の下のリンパが腫れて痛い病気
ですが脇の下のリンパが腫れるとき、何かの病気が隠れていることもあります。
リンパ節炎(リンパ腺炎)
リンパ節が腫れる病気として代表的なものです。
何らかのウイルス感染によってリンパ節が腫れます。のどの炎症や虫歯の炎症がきっかけで腫れることが多いようです。
主に脇の下や首のリンパ節が腫れて、押すと痛いです。
乳腺症
授乳中の女性に多い病気ですが、生理前にも症状が出ます。
乳房の中にある乳腺が炎症を起こして中に膿がたまったり、母乳が詰まったりします。脇の下のリンパ節が近いのでしこりが出来て痛む場合があります。
乳腺炎は種類によっては乳がんと間違われやすい病気ですのできちんとした検査が必要です。
月経前症候群(PMS)
生理の周期に合わせて起こるホルモンバランスの変化が原因で起こる病気です。
情緒が不安定になる・頭痛や倦怠感・眠気などが主な症状ですが、血液の流れが悪いと脇の下のリンパも腫れて痛んだりします。
悪性リンパ腫
リンパ液の中の免疫細胞であるリンパ球が癌になる病気です。
癌になったリンパ球が全身をめぐるので、全身の倦怠感、大量の寝汗、かゆみなどの全身症状が現れます。
特に脇の下や首、股の付け根のリンパ節が腫れてしこりになります。しかし、しこりを押しても痛みがありません。
乳がん
乳がんにかかると近いところのリンパ節に転移しやすく、腫れてリンパの流れをせき止めることがあります。腕がむくんだりしびれたりします。
乳がんは乳房のしこりで発見されることが多いのですが乳腺症かもしれませんので早めの検査をお勧めします。
帯状疱疹
帯状疱疹の初期症状としてリンパ節の腫れや痛みがあります。
体に痛みのある疱疹ができる前に、体がチクチク痛んだり風邪のような倦怠感や微熱があります。
そのため風邪だと思って対処を間違える人も多いようです。
梅毒
梅毒の初期症状としてもリンパ節の腫れがあります。これは痛みがありません。
また初期には唇や性器に赤いポツポツとしたしこりが出来るのが特徴です。これらは2~3週間で消えますが、決して治ったわけではありませんので必ず病院に行きましょう。
リンパ節が痛むときの対処法
リンパ節の腫れや痛みを和らげるにはどうしたらいいでしょうか。
身体を温かくしましょう
まず、身体を温めてリンパの流れを良くし免疫作用を高めましょう。
暖かい飲み物を飲みお風呂で十分温まると痛みや腫れが和らぎます。肩コリや首コリもリンパ節が腫れる要因になるので、背中を伸ばしたりして血液の流れをよくしましょう。
適度な運動は健康に大切
また、リンパ液は心臓のようにポンプで流れているわけでなく、全身の筋肉の収縮に合わせて流れます。
適度な運動でリンパの流れを促してあげましょう。お風呂上がりのストレッチやヨガなども効果的です。
不必要な異物や老廃物を排出するマッサージ
リンパドレナージュ(リンパのむくみを改善するために行うマッサージ)でリンパの流れを良くするのも効果的です。
脇の下のリンパの流れをよくするには、腕を上げ反対の手を脇に当てて外側から内側にさすります。
力を入れず、優しくさすりましょう。
30秒ほどさすったら、次は腕を上げたまま肘から鎖骨に向かって15秒ほどさすります。反対側も同様に行います。
次第にしこりが大きくなる、数が増える。またしこりに弾力がなく固い、押しても痛くないときは、危険信号です。近くの内科か女性の場合は産婦人科(同時に乳房に異変がある時)を受診しましょう。