食べ物の中には、希少価値の高いものや、作業工程の大変さ、特異さ等で珍味とされる食べ物が幾つもあります。
今回はそんな珍味に類する食べ物の中で特に「臭さ」に特化した食べ物ランキングTOP3をご紹介していきたいと思います。
味はともかく、その臭いの存在感は強烈!!開けた瞬間に失神すると言われているようなものや、涙が止まらなくなる程の刺激臭がするもの等、果たして本当に口にしても大丈夫なのか?と不安になってしまうものもあります。
一部はお取り寄せも可能だそうですが、特に1位、2位は想像を絶するレベルの臭いですので、もし召し上がるようなことがある際は、周囲に迷惑が掛からないことを確認した上で、お試しになってみて下さいね。
第1位:シュール・ストレミング(8070Au)
出典:川口貿易オンラインショップ
※Au=アラバスタ―(香り濃度の単位:数値が高い程「臭い!」)
TVのバラエティ番組等で「世界一臭い食べ物」としても紹介されることが多い食べ物です。
正体はスウェーデン産の「塩漬けニシンの缶詰」 聞いただけでは、酒の肴に合いそうな感じですが、残念ながら香りの強さを表すAu値は納豆の17.8倍!
何がそんなに臭うのかといえば、熟成期間の長さが原因で発生する発酵ガス。
戦時中の糧食として生まれたシュール・ストレミングですが、日差しも薪も乏しいスウェーデンでは、本来の「塩漬け」の形である大量に塩を使った塩蔵保存ができず(塩が自国で精製できず貴重な為、糧食には回せなかった)やむを得ず、樽の中に薄い塩水を入れて長期保存(10週~12週)することで糧食としての利用可能を実現しました。
しかし、塩水に漬けただけでは腐敗は防げても発酵を防ぐことができず、糧食として口にする頃にはニシンの身は耐え難いほどの臭気を伴うものとなってしまったのです。
しかし19世紀以降に缶詰が実用化されてからは、缶の中で滅菌処理をせず、発酵を進行させるタイプのものが登場。
缶詰は7月に製造され9月に食べ頃になりますが、食べ頃の9月には、缶の中で発生したガス圧で缶自体が丸く膨らんだ物が店頭に並び始めます。
但し注意が必要なのは、発酵食品につき食べ頃が存在するという点。
販売の解禁日としては8月の第3木曜とされていますが、これは涼しい北欧で販売される場合の条件なので、日本の気温下ではこの条件は当てはまりません。また、缶を開けた際、魚の身が液状化している物は発酵が進みすぎた物である為、食べること自体もできなくなります。
日本でもネット販売をしているようですが、5000円強とかなり高めの物となっている為、ご購入の際はじっくりご検討の上、お試し下さい。
食べ方
シュール・ストレミングは「世界一臭い食べ物」なだけあり、食べ方にもたくさんのルールがあります。
これを守らず食べてしまうと、自分だけでなく周りの人にも多大な迷惑を掛けること確実なので、もし食べる機会が
あった場合は、安全に食べて頂く為にも、以下のルールを厳守の上、お召し上がり下さい。
食べる前に缶詰を冷却
お手元に届いた時点で、既に缶詰内はガスで膨らんだ状態ですので、減圧の意味も込めて、必ず届いたら冷蔵庫で保管するようにして下さい。
室温内に置くと発酵が更に進み中身が溶け、最悪の場合はガスで缶自体が爆発します。
屋外または水中で開けること
缶を開けて置いておくだけで、大量のハエが寄ってくるほどの臭いです。その臭いは下水の臭いとも、魚や卵の腐った臭いとも形容されています。
ですので、缶を開ける際は「人気のない河原、もしくは室内であれば必ず水の中で」開けましょう。
また河原でも風下に人がいないこと、室内では
換気扇全開で常に流水を流した状態で中身を出すようにして下さい。異臭騒ぎになります。
※但し「シュール・ストレミング禁止」となっている河川もある為、利用前は必ず現地確認を行いましょう。
捨てても良い服で食べること
屋外で開ける場合、缶内のガスと共に中の汁が飛び出すことが考えられますし、屋内にて水中で開けた際でも、うっかり汁が服についてしまうこともあります。
しかし服についた場合、残念ながらその服は2度と着られないと思って下さい。
洗濯で臭いはまず取れませんし、シミも取れないそうです。
そういう意味でも水の中で開けるのがお勧めです。
捨てて良い服がなければ右のように100円ショップにあるレインコートを利用するのも良いかもしれません。
とにかく塩辛いので、水もしくは酒でよく洗ってから食べる
長期間塩漬けになっていただけあって、かなり塩辛いです。臭いを取る意味も含め、食べる前に水もしくは酒で洗うと大分臭みが和らぎます。(※ウォッカ等で洗うと3~4割臭みは消えるそうです)
その後は、薄切りにしたフランスパンやクラッカーの上に、トマト、スライスオニオン等を合せて少量ずつ載せて食べると本体の生臭みが和らいで美味しい…らしいです。
シュール・ストレミングまとめ
第2位にもかなりの大差をつけ、独走状態での1位となっているだけあり、興味本位や話の種で食べようと気軽な気持ちでチャレンジをしたくなりますが、実際にチャレンジすると、本当に大ヤケドをします。
価格的にも安い買い物ではないですし、主に悪い意味で記憶に残る味のようですので、注文する際は、食べる時の環境作りの事も視野に入れて注文するようにしましょう。
ただ、ここまでご覧になられても尚、試してみたいと思われる猛者の方、お試しになる際はどなたか理解のあるご友人等を巻き込むことをお勧めします(笑) 独特の風味なだけあって、1人で完食するのはなかなか辛いようです。
第2位:ホン・オフェ(6230Au)
本場は韓国:全羅南道の港町である木浦地域の郷土料理。
作り方としては、ガンギエイの切り身を壺に入れ、おがくずや堆肥の発酵熱を利用し、壺の中の切り身を発酵させて作ります。
発酵が進むほどに身が柔らかくなり、美味とされますが、発酵の段階で発生する強力なアンモニア臭は、口にする際、その臭気の強さに涙が止まらないとのこと。
韓国では高級食品のひとつとされ、結婚式等の冠婚葬祭のシーンには欠かせないご馳走とのことですが、
食べる際は相当な覚悟が必要なようです。
臭いの正体と味
強烈なアンモニア臭が特徴的なホン・オフェですが、臭いの正体は発酵時にエイ自体が持つ尿素が、おがくずや堆肥内に含まれる酵素と反応し、二酸化炭素とアンモニアに分解される際のアンモニア。
発酵が進むほどに臭いがきつくなるのも納得ですね。
一説にはホン・オフェの臭いはアジア最大で、本場の筈の韓国人95%もこの料理を食べられないそうです。口に入れた瞬間に深呼吸をすると失神寸前になるとのこと。お祝いの席で供されるご馳走なのにすごいですね。
尚、臭いの強さは納豆の14倍。ちょっと想像がつきませんね。
そして気になる味ですが…既にエイの身自体がホン・オフェとなっている時点で相当なアンモニアを纏っている為、味わうというよりは口に入れて即マッコリで流し込む形が「通の食べ方」と言われているそうです。
またあまり長く口の中に入れておくと、アンモニアの影響で口内の粘膜がただれてしまう恐れがあるので、そういった意味でも、ホン・オフェは味自体を楽しむのではなく、コリコリしたエイの軟骨の感触を楽しみつつ、キムチと一緒に食べたり、ホン・オフェ→マッコリの順でマッコリの美味しさを再確認するスタイルで食べるのがベストとのこと。
独特な楽しみ方ですね。
【第3位:エピキュアーチーズ】(1870Au)
出典:goodtaste
1、2位に比べれば、ぐっと数値は下がるものの、それでも臭いは納豆の約5倍近く!
チーズの中では最も臭いと言われるその理由は、缶の中で2~3年という長期間熟成・発酵させる点にあります。
しかしその分、缶の中で長期間発酵させることで、深いコクのある味わいを引き出すことに成功。
味はかなり良く、チーズ好きの方の間では人気のチーズとのこと。
正に「エピキュアー:美食家」の名に恥じないものですね。
更に原産国:ニュージーランドでは企業努力により、缶入りの強烈な臭いを伴うようなものではなく、通常の製法で、缶入りと同じく36ヶ月の長期間熟成させたものが、真空包装で販売されているそうです。
しかも驚きなのは、パッケージを開けても臭いが全く鼻につかないこと!臭いのきつい物は冷蔵庫に入れることを躊躇いがちになりますが、こちらのタイプは普通のチーズと同じように冷蔵庫に保存しても臭いの面での問題はないようです。
缶入りは既に流通数自体が激減しているそうなので「あの臭さを体験したいんだ!」という方でもない限りは、現在出回っている真空包装のエピキュアーチーズでも十分美味しく召し上がることができると思われます。
美味しい食べ方
味自体はかなり良いとの評判ですので、ここではより美味しく召し上がって頂く為の方法をご案内します。
チーズの分類としては長期間熟成発酵で作られるハードタイプに属する為、チーズのみを純粋に楽しむのであればシェリー酒やしっかりした風味の白ワイン、料理に活用するのであれば
「加熱して調理する」系統の料理に合うようです。
リゾット/ピザ/グラタンあたりがお勧めかもしれません。
まとめ
いかがでしたか?一口に「臭い食べ物」と言っても想像ができるのは納豆か、よくて「くさや」あたりかと思いますが、
ご紹介した3点は臭いと言われている「焼きたてのくさや」の軽く5倍~7倍ですので、ここまで来ると逆に想像がつき難いかもしれませんね。
ただ何にせよ、強い刺激臭を持っていたり、異臭騒ぎの原因となり得る危険物も含まれますので、お試しになる際は、どうかくれぐれもご注意下さいね。