桜が咲き始め、本格的に暖かい春を迎えると使う時候の挨拶に「桜花の候」があります。
時候の挨拶は手紙やビジネス文書で使える季節の挨拶文。使い方を覚えておくと何かと便利です。
丁寧な言葉ですが、使う時期や使い方を間違えてしまうと相手にも失礼になってしまいます。
いかにも春を感じさせる挨拶「桜花の候」。
その意味や使う時期、そのまま使える具体的な例文をご紹介します。
「桜花の候」意味や由来は?
「桜花の候」は「おうかのこう」と読みます。
競馬の「桜花賞」や「桜花学園」などありますから、そんなに難しくはありませんね。
「桜花」はもちろん桜の花の事。俳句では春の季語として使われます。
桜、というとやはり、うららかな春の陽気を思い浮かべるのではないでしょうか。
毎年お花見を楽しみに、ニュースの「桜前線」をチェックするのも春の風物詩といえるでしょう。
日本人にとって桜の花は春の代名詞であり、「桜花」には「桜の花のように美しく栄えている様子」の意味も含まれています。
「~の候」は、「~の季節になりましたが」「~を迎えた今日この頃」という意味なので
合わせて「本格的な桜の季節になりましたが」「満開の桜を迎えた今日この頃」といった意味になります。
目の前にパアッと満開の桜並木が浮かぶような素敵な言葉です。そんな雰囲気を手紙にしたためることができれば素敵ですよね。
「桜花の候」使うのに適した時期は?
「桜花の候」は桜の咲く季節に使用しますが、桜の時期は北と南で結構違いますよね。
桜の平均開花日は九州宮崎県で3月24日、大阪や名古屋、東京あたりは3月28~31日、福井から北の日本海側・東北は4月上旬から下旬、北海道は5月の頭になります。
しかし、桜の時期として多くの人が思い浮かべるのはやはり4月の上旬、入学式・始業式のころですから、基本的に3月下旬~4月前半、長くても4月いっぱいが使用時期といえるでしょう。
あとは送る相手の開花時期に合わせて、使用時期を調節するとよりいいですね。
同じような時期に使う時候の挨拶として、「薫風(くんぷう)の候」「新緑(しんりょく)の候」「春暖(しゅんだん)の候」「陽春(しゅんよう)の候」などがあります。
「桜花の候」を使った例文
きちんとした手紙の構成は簡単に言うと
- 頭語(拝啓・謹啓など)
- 時候の挨拶(桜花の候など)
- 相手の安否を尋ねる言葉
- 本文
- 結びの言葉
- 結語(敬具・謹白など)
の順番となります。
「桜花の候」をこの流れに沿った例文でご紹介します。
ビジネス文章での例文
取引先などに。
拝啓 桜花の候 貴社益々ご繁栄のこととお慶び申し上げます。
~本文~
花冷えの時節柄、皆様もご自愛専一にてのご活躍をお祈り申し上げます。
敬具
出向先の上司などに
謹啓 桜花の候 皆様におかれましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
~本文~
これからもご指導ご鞭撻のほどをお願い申し上げます。
謹白
*「ご清栄」は相手の健康や繁盛を、「ご盛栄」は商売の繁盛を祝う言葉です。
ほかにも「ご清祥」は相手の健康や無事を、「ご健勝」はとっても健康であることに対する言葉です。
相手によって使い分けるのもいいですね。
結び言葉は、季節に合わせて相手への健康を気遣う気持ちを込めるのもいいでしょう。
しかし、ビジネス文書の場合、結びを省略することも多いようです。
親しい方への手紙の例文
拝啓 桜花の候 うららかな春の日が続いていますが皆様いかがお過ごしでしょうか。
~本文~
新年度を迎え忙しい日が続きます。体調を崩さぬようお気を付けください。
敬具
まだ肌寒い時などは
拝啓 桜花の候 皆様、ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
~本文~
花冷えの日もございます。風邪などひかれぬようご自愛ください。
敬具
という感じはいかがでしょうか。
よりやわらかい表現
*より親しい相手への手紙で、「~の候」が少し硬く感じられるときは「~の折」「~のみぎり」と言い換えることもできます。
拝啓 桜花の折 皆様、お変わりなくお元気でお過ごしのことと存じます。
~本文~
見頃のうちに、お花見でもご一緒致しましょう。
敬具
また、「敬具」→「かしこ(女性のみ)」と言い換えることができます。
拝啓 桜花のみぎり ○○様はいかがお過ごしでしょうか。
~本文~
新しい環境で心機一転、○○様のご多幸をお祈りいたします。
かしこ
時期的に、引っ越しや進級で環境がガラリと変化する人も多いですよね。
そういう方には結びに新しい環境への気遣いを入れるのもいいでしょう。
まとめ
満開の桜は、春真っ盛りの象徴ですよね。
開花宣言を聞くと、やっぱりなんとなく浮足立ってきます。
「桜花の候」を使って、お世話になった方に春の便りを出すのもいいのではないでしょうか♪
きっと喜んでいただけるはずです。